オーナーインタビュー Vol.2

そんな仲間たちが集う場所として大活躍しているのが、バーベキュー炉を備え付けたウッドデッキ。日曜大工の枠を超えるスケールの大きなデッキだが、もちろん矢部さんの自作である。

「仲間たちと賑やかに楽しむことが多いですが、火を眺めながらウイスキーグラス片手にやる一人バーベキューもいいものです。薪の香りに、スモーキーなウイスキーがとてもよく合う。クセになりますよ。」

アンテナはつねに高感度

20年以上、蓼科に通う矢部さんは当然のことながら、八ヶ岳山麓の野菜の美味しさを熟知している。しかも食べるだけでは収まらず、3年前から原村に畑を借りて野菜づくりを行っている。春に種を蒔き、その後はほとんど放ったらかしにしているそうだが育ちがよく、一昨年、昨年と期待以上の収穫が得られたそうだ。今年は、トマト、トウモロコシ、ショウガ、ジャガイモ、エダマメの収穫を目指している。

最近はジビエにも食指を伸ばしはじめ、なかでもシカ肉がお気に入りだという。

「齢を重ねたせいか、さっぱりとした味に好みが変わり、シカ肉の淡白なところが気に入っています。野菜とシカ肉を塩・胡椒・オリーブオイルで炒めると実に美味い」。

とれたての野菜に地元のシカ肉、そして熱源は、敷地内の薪。この土地にあるものを活かす完璧な地産池消だ。また矢部さんは、カラマツの細かい葉や細い枝も熱源として活用している。

「屋根に積もったカラマツの葉や枝は、天日干し状態なので乾燥していてよく燃えます。特に松ボックリは火力が強い。」

そんなカラマツの葉の燃焼をいかんなく発揮できるアイテムとして、アイルランド製の湯沸かしポット・ケリーケトルを紹介してくれた。このケリーケトルは、本体の真ん中が空洞になっており、外壁と内壁の間に水を入れる構造。下で燃やした炎が煙突効果でトルネード状に舞い上がり内壁全体を急速加熱。わずか三分でお湯が沸く優れもの。

別荘地内にカラマツの葉はいくらでもあるので、燃料として役立てられるケリーケトルは打ってつけである。

矢部さんの高感度なアンテナは、楽しく役立ちそうなモノをキャッチしたら放さない。常に全方位へ張りめぐらされているのだ。

都心×蓼科、二拠点居住の真価

高感度な蓼科生活は、友人知人、後輩たちの憧れの的となり、矢部さんは、別荘ライフの素晴らしさをより深く具体的に伝えるため、『蓼科塾』という勉強会を主宰している。ウィークデーは都心の生活を存分に楽しみ、週末は自然豊かな蓼科でアクティブに過ごす。そんな都心×蓼科の二拠点居住の豊かさを語り、考え、広げるオープンフォーラムを六本木のミッドタウンで開催したり、ワークショップを蓼科で開いたり、精力的に活動している。

蓼科高原には、仕事も遊びも全力で楽しむアクティブな都会人を惹き付けるポテンシャルがあり、矢部さんのライフスタイルは、その真価をフルに発揮したもの。蓼科塾に参加し、別荘オーナーになる人はもちろん、蓼科へ移住するメンバーもいるという。

最後に、星の数ほどありそうな魅力の中から、矢部さんが特に気に入っている点を訊いてみると、

「蓼科の空気ですね。別荘に到着し、クルマのドアを開けた瞬間に感じる軽く澄んだ高原の空気。この明確な気圧の変化が五感に刺激を与えてくれるんです。澄み渡る空気の中で色々なことを考え、身体を動かすことが、とにかく気持ちいい。今やご当地自慢の食材や天然水が通販で買える時代ですが、空気だけは、その土地に行かなくては味わえませんよ。」

透明な蓼科の空気は、人の心を純粋にしてくれる。ピュアな自分になって、色々なことにチャレンジしたくなる。

そう、“蓼科なら何でもできる”のだ。

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周囲の森を一望できる屋外ステージのように広いウッドデッキ。独りバーベキュー、ハンモックで昼寝、お茶会、原稿書き…、森の居間として、思いのままに利用している


収穫したほうれん草、ベーコン、ソーセージを焚き火で炒め、お酒のツマミに。ウイスキーによく合うそうだ


少ない葉の量でも煙突効果で勢いよく燃え上がるアイルランド製のケリーケトル。お湯を沸かすことが特別な体験に思えてくる


涼しい夏の夜にウッドデッキで開いたリゾートミーティング。プロジェクターのスクリーンなど新しい試みを楽しんでいる


六本木のミッドタウンで開催された『蓼科塾』セミナー。東京と蓼科を結ぶ2拠点生活の素晴らしさ、可能性について、様々な業種のメンバーが集い、語り合った


機能を追求したコンパクトな矢部山荘。カーポートには、石切場から直接買い入れた茅野特産の鉄平石を敷き詰めている